謹んで新年のお慶びを申し上げます

 本年も、年賀状を書く暇(いとま)に恵まれませんでした。この場を借りて、新春のご挨拶をさせていただきます。

 本年は己丑(きちゅう、つちのと・うし)の年ですが、この「己」は糸偏の「紀(き)」を省した文字であり、乱れた糸筋を正しくする、との意味を持っています。
「丑」も同じ。曲がったものを真っ直ぐに伸ばす、という意味があり、元の文字である「紐」には、「はじめ」の語意もありました。五十になった私には、実にふさわしい一字であるように思われます。
 今年は「丑」年ですが、「牛」にちなんで脱線を一つ申します。
『徒然草』に、後嵯峨天皇の幼い皇女が、人に御言伝(おことづて)した歌が載っていました。
「ふたつ文字、牛のつの文字、すくな文字、ゆがみ文字とぞ君はおぼゆる」
 ふたつ文字とは、「こ」の隠語。牛のつの文字は形から「い」、すくな文字とは「し」のことで、ゆがみ文字とは「く」のこと。つなぐと、「こいしくとぞ君はおぼゆる」となります。
  本年は、世界的大不況の年となりましょうが、こういう時こそ心豊かに、身の丈にあった生活を納得して過ごし、平和でほのぼのとしあわせが感じられる、そんな一年でありますように。
  このページをご覧いただいている、すべての皆さまにとりまして、穏やかな一年となりますことを、心より念じております。

平成二十一年元旦
加来耕三

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